市民参加条例(仮称)検討委員会報告(平成16年3月)
ページ番号 1003335 更新日 平成27年3月21日
ポイント:よりよい市民参加制度を条例化するには、
- 更なる情報の共有体制
- 職員の資質向上
- 機運の高まり
- 協働体制との連動
が必要である。
特に3.は、市民、行政、議会の三者の機運を高めることが必要である。
1 はじめに
市民参加条例(仮称)検討委員会は、1年間の間、延べ10回にわたり、困難であっても第一歩を踏み出さなければならないとの想いで、市民参加に必要な事項の検討に取り組んできた。
2 市民参加条例の考え方
1. 現状
ア 社会的背景
市政に関する情報の公開と市民参加制度が、住民自治の実現に必要である。
イ 基本条例から市民参加条例へ
平成14年7月、東久留米市基本条例(仮称)研究会が、市長に検討結果を報告。市長は「長や議会の権能に係る部分がある。報告書を踏まえつつ市民参加条例(仮称)の制定を目指したい」とした。
ウ 市の実態、市民の実態
(市の実態)
すでに市は、住民投票を除くほぼすべての市民参加手法を経験済みだが、参加手法の選択や得られた意見の取り扱いなどは部署によりまちまちである。
部長等は市民参加制度の必要性を認めつつ諸条件の整備の必要性を指摘している。導入の時期については「早急に」と「慎重に」とする部長等が半々であった。
(市民の実態)
現在接点のある市民は、ほとんどが「受益者」であり、「利害関係者」である。
市政に関心を持つ市民が増加する方向にある。しかし積極的に参加する市民の絶対数は決して多くない。行政と接点を持つ市民団体はまだ行政への依存性が高く、個人と同様「受益者」「利害関係者」が多い。市民の中には「市民が公益的な活動をするのだから金は行政が出して欲しい」という協働観がある。
市内NPO法人は多くない。福祉サービスに偏っている。
エ 条例制定の必要性
- 「市民の声を聞いて施策を進める」という表明のため。
部署によりまちまちな市民参加の手法を整理統一するため。 - 市と市民の市政に関する情報の共有、市の説明責任を果たすため。
- 参加を保障する制度、住民自治の実現のため。
- 市に対して意見を言う機会を公平に保証するため。
- 行政評価制度を浸透させ、その意義を高めるため。
2. 条例制定の意義、目指すもの
ア 市民参加条例の位置付け
市の一般法的性格で、個別の施策展開にあたり留意すべき原則であり、市と市民の双方が守るべき共通のルールである。
意見を言う者にも、意見を言わない者にも自己責任を発生させる。
市民参加制度は市民意見の特権化ではない。意見を行政が真摯に受け止め、行政の主体性と責任によって施策に反映する制度である。
イ 条例制定の目的
- 市民の目をもっと行政に向けること。
- 市政に対する無関心層を減らし、住民自治の本旨の実現へ一歩踏み出すこと。
- 納税者、自立市民の視点に立った市政運営に転換すること。
- 組織の活性化を図ること。
- AにもBにもCにも意見を聞き、「より良い結果X」を生み出すこと。
- 直接民主主義を目指す第二の議会を作ることは目的ではない。
3 条例に盛り込むべき事項
1. 定義
「市民」「市の機関」「市民参加」「市民活動」
2. 盛り込む事項
市の役割・市民の役割・条例の基本的原則
ア 共通事項
- 意見の取扱い
- 議事録の整備
- 会議の公開
- 市民参加の対象
イ 市民参加の手法
- 附属機関等の設置と構成員の公募
- 事案意見公募(パブリック・コメント制度)
- 市民説明会
- 市民ワークショップ
- 公聴会
4 提言
1.市民参加条例を実現するために
ア 情報の共有
- 情報の提供から情報発信へ
- 情報発信チャンネルの拡充
- 参加市民の声も共有すべき情報のひとつ
- 市民と市民のリレーション確立をも目指す情報共有
- 情報加工サービスの提供はコスト転嫁が必要
イ 職員の資質向上
- 「市民の意見を聞くことは大変なこと」から脱却すること。
ポイントは「職員のモラル」と「公務員という職業に対する誇り」。 - 市民参加各種の手法を実践するスキルの習得
職員は実践経験がないだけで、手法を学ぶ機会は与えられている。受け身的な職員には、視点の転換を求める。 - スキルを身につけ実践できる職員へのインセンティブ。
様々な意味での差別化はあってよい。
ウ 機運の高まり
条例化にあたって、三者の機運の高まりが必要である。
(市民)
自立した市民が増え、言いっぱなしや評論家的な参加が減ること。
(行政)
市民参加制度に対する必要性の認知がまだ不十分であるため、トップの方針が組織に対して明示されることが必要。
(議会の理解)
議会の理解なしに条例化を進めるべきではない。
エ 理想の市民参加条例
(条例の策定方法)
行政と市民の双方が対等の立場で条例づくりにかかわるほうがよいため、協働の場は、条例づくりにふさわしい場になる可能性がある。
(制度の中身とその運用)
実践段階への市民参加は欠かすことはできない。「東久留米市における市民参加制度」と、「東久留米市における協働の枠組み」は、合わせて推進すべきである。
2. 盛り込むべき事項の見直しについて
本条例はその時々の時代に育てられるべき条例である。
行政が、条例よりさらによいと思われる参加手続きを選択することも許容すべき。
しかしこれは、市や市民を義務的に縛ったり、範囲の拡大解釈を強要したりするものではない。
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