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所信表明(令和4年3月1日)

ページ番号 1019667 更新日  令和4年3月1日

1 はじめに

昨年、令和3年12月26日に執行された東久留米市長選挙におきまして、多くの市民の皆様からご負託をいただき、市長に就任させていただきました。この間、市民の皆様、職員、そして多くの仲間に支えられ、市政運営に全力で取り組むとともに、その職責の重さに身が引き締まる思いをいたしており、日を重ねるごとに将来への責任感・使命感が高まってきております。

幼少期にこの土地に移り住んでから、早くも40年を超える歳月が流れ去りました。昭和、平成、そして令和へと時代が移ろう中で、東久留米市は成熟した住宅都市へと発展を遂げるとともに、このまちに、ここに住まう人々に、私自身も育てていただきました。多くの思い出と愛着溢れるこのまちに、今日も子どもたちの元気な姿があります。子どもたちにとってもかけがえのないふるさとである東久留米を、よりよいまちにしていきたいという強い思いこそが、私の原動力であります。

わが市を取り巻く情勢は大変厳しく、多岐にわたる懸案課題を抱えており、市政運営を進めていくにはこの先多くの困難が待ち構えているでしょう。もちろんどれも簡単に解決できるものではないと承知しております。しかし、それらの難題を乗り越えてこそ、初めて市民の皆様に住み続けていただける、選んでいただけるまちになるものと考えております。その実現に向けて、まずは、市民の皆様の知恵と創意をお借りしながら難題に立ち向かい、これまで以上に「やれる、できる」市役所としてまいります。課題や困難に真正面から向き合い、全力で取り組む姿勢を市民の方々にお示しすることにより、市民の皆様にも元気になってもらいたい、少しでも希望を持ってもらいたい、そして、やればできるということを見て感じていただきたいと考えております。

「やれる、できる」の気持ちが水面に広がる波紋のように地域に広がり、やがて東久留米市全域を包むようになれば、新しいまちづくりへの大きなエネルギーとなります。このエネルギーとともに東久留米市の新しい時代を切り拓いてまいります。

2 市政運営の基本的考え方

それでは、今後4年間の市政運営、並びにその第一歩となる令和4年度の市政運営に臨むにあたっての私の所信を申し述べさせていただきます。

私はこれまで、5期約18年7か月、野崎重弥市長、馬場一彦市長、並木克巳市長の市政運営において市議会議員として携わらせていただき、3人の市長の改革に賛同し、協力させていただきました。それぞれの市長の立場は違えども、東久留米市の改革の流れは変わっていない、途絶えていないと考えております。改革の個別項目に対しては賛成や反対、様々な意見があるとは思いますが、私は東久留米市のこれまでの改革の方向性は間違っていない、これらの改革への取り組みがあったからこそ、今の東久留米市があると高く評価させていただいております。今度は私が市長として、これまでの改革の流れを引き継ぐ番です。同時に、新しい時代の新しいまちづくりへの第一歩を踏み出してまいりたいと考えております。

私の思い描くこのまちの理想像は、「あんしんして暮らせるまち」であります。

このまちの最大の魅力は、住みやすさであると認識しております。本市は、都心部に近い位置にありながらも多くの自然が残され、加えて生活環境が充実している、自然との調和、融和が図られた質の高い住環境が形成されております。このまちの強み、特色を生かしつつ、未来を担う子どもたちから、子育て世帯をはじめとした中間世代、お元気さを増す高齢世代の方々まで、世代を超え、誰もが住み続けたいと実感していただけるまちへと更に進化させていく。そして、市外の方々には住みたい、訪れたいとの気持ちを芽生えさせる、潤いと安らぎ溢れる東京のオアシスと呼ばれるようなまちづくりを進めてまいります。

高度経済成長期の人口・産業の大都市集中化を受けて、市内各所に大規模団地が建設され、本格的な人口急増がはじまり、都市圏における住宅都市として発展してまいりました。この間、時代の移り変わりとともに、成熟した都市へと成長し、一昨年の令和2年に市制施行50周年を迎えました。東久留米市も、日本全国のほぼすべての自治体と同様、少子高齢化による人口減少が見込まれており、今後人口増加によるまちの発展の可能性は限りなくゼロに近いと言えます。公共施設も、既存の公共施設の老朽化が進んできており、その維持補修や更新には莫大な経費がかかると試算されております。子育て支援や高齢者福祉などの市民サービスも、すでに多額の予算が計上されているにも関わらず、新たな要望は増え続けており、これまでと同様の提供体制では、これ以上のサービスの充実は見込めません。東久留米市が新しいまちづくりをするためには、まず過去から蓄積された課題を解決し、公共施設のあり方・市民サービスの提供体制のあり方をこれからの時代に即したものに変えていかなくてはいけません。

ここで東久留米市のこれからの50年間への基礎づくりを行う、それが市長として私に課せられた使命だと考えております。この4年間で、東久留米市の次の50年が決まる。それ程の強い決意を持って、私はこれからの市政運営に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

その実現に向けた重点的取組みとして、大きく3点を挙げます。

一点目は、公共施設マネジメントの推進であります。この取組みは、東久留米市の未来への扉を開く際の重要な鍵となり、このまちの道標となるものであります。人口急増に合わせて整備された多くの公共施設等が老朽化し、これから順次更新の時期を迎えることになります。平成27年5月に作成した「東久留米市公共施設白書」では、本市の公共施設は、建築系公共施設において築30年以上経過する施設の延べ床面積は約7割を占めており、現在、保有する公共施設を同一の規模及び仕様で保持するために必要となる令和27(2045)年度までの改修、建て替えを合わせた将来更新費用は、総額で624億4千万円と試算しております。この財源捻出の厳しさに加え、人口規模及び人口構造の変化が見込まれる中、これからの東久留米市を見据えて、既存の施設の複合化や集約化等も図りつつ、新たな付加価値を加えた公共施設の再編成をめざす未来志向の公共施設マネジメントについて、広く市民の皆様の意見に耳を傾けながら進めてまいります。

二点目は、デジタル化の推進であります。これは、未来への扉を開く際のもう一方の重要な鍵となります。前段の公共施設マネジメントの推進がハード面からのアプローチとすれば、デジタル化はソフト面における今後のまちの基盤づくりとなるものであります。新型コロナウイルス感染症による未曽有の事態を機に、国をあげてのデジタル社会への転換が急速に進められております。基礎自治体においても、自らが担う行政サービスにデジタル技術やデータを活用し、住民の利便性を向上させるとともに、AI等デジタル技術の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上につなげていくことが求められております。こうした中、本市がDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するにあたり、まずは、市役所で行う各種申請手続き等において、面倒をおかけしない、手間をおかけしない利便性を高めるデジタル化に取り組みます。また、デジタル活用に関する理解やスキルが十分でない方に対しての支援等、デジタルデバイド対策を講じることも肝要であります。これらの視点を以て、誰もが恩恵を享受できる人にやさしいデジタル化を推進してまいります。

最後に三点目は、子どもたちへの投資であります。私は、子育て支援はもちろんのこと、子どもたち自身への支援に重点を置き、ボール遊びができる公園を増やしてあげたい、思いっきり運動ができる環境を整えたい、悩みや苦しみを抱えている子どもたちへ支援の手を差し伸べたい。子どもたちが輝き、伸び伸びと健やかに育つ、次代を担う子どもたちへの支援は大変重要であると考えております。子どもたちへの投資は、このまちの明るい未来への投資でもあります。

3 今後の市政運営の展望(未来を創るための八つの策)

東久留米市は、財政危機宣言を発した当時と比べ、今すぐに破綻するような財政事情にはありませんが、非常に厳しい状況に置かれていることに違いはありません。持続できる市政運営に向けては、財政運営の基本目標に沿って、財政規律や財政身の丈の市政運営に努めながら、災害等の対応に必要な財源を確保し続けていかなければなりません。何より、私たちは先に生きるものとして、子どもたちにこのまちの明るい未来の可能性を残していく、そのようなまちづくりを進めていく責任があります。

私は、先の市長選挙において、「今一度 東久留米を洗濯いたしたい」との想いを込めて、大きく10の分野における具体的な政策を提案させていただきましたが、今後、一定のビジョンを以てまちづくりを進めていくにあたっては、私が掲げた政策と市の最上位計画となる東久留米市第5次長期総合計画との関連性を整理していく必要性があります。つきましては、喫緊かつ最優先の課題であり、万全を期する必要性のある新型コロナウイルス対策を一の策に、重点的取組みとなる公共施設マネジメント及びデジタル化の推進を二の策、三の策に、長期総合計画におけるまちづくりの5つの基本目標を四から八の策に区分し、掲げた具体の政策について改めて体系化をいたしました。これらを「未来を創るための八つの策」と題し、今後の市政運営の展望といたします。

新型コロナウイルス対策に全力

はじめに、一つ目の策となる「新型コロナウイルス対策に全力」についてであります。

昨年来、スピード感を以て進めてきたワクチン接種事業の効果が見え始めた矢先、新たな変異株によるリスクへの対応を余儀なくされることとなりました。新型コロナウイルスとの戦いは続いております。喫緊かつ最優先の課題として捉え、これまで培ってきた知見、経験を活かしながら、東久留米市医師会との連携の下、機動的な対応に努めてまいります。

新型コロナウイルスワクチンは、高い発症予防効果等がある一方、感染予防効果や重症化予防効果について、時間の経過に伴い、徐々に低下していくことが示唆されております。ワクチンの追加接種につきましては、希望されている方に円滑に接種いただけるよう、国や東京都とも連携を図りながら、引き続き体制を整えてまいります。学校・保育園・福祉施設等の感染拡大防止に向けては、三密回避の徹底はもちろんのこと、必要となる対策に取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症の罹患者等へは、その時々の社会情勢等を的確に捉えながら、症例経験等に応じた適切な支援を図ることが重要であり、東久留米市医師会等とも連携しながらその対応に努めてまいります。また、お困りの事業者への支援として、東京都中小企業者等月次支援給付金の昨年7月から10月分の受給者を対象とした経営持続支援金を給付するための必要経費について、本定例会に補正予算の議案をご提案いたしております。これは、先の臨時国会で成立した令和3年度補正予算に増額計上された新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、速やかに対応するものであります。

公共施設の総点検

次に、二つ目の策となる「公共施設の総点検」についてであります。

本市においては、財政負担の軽減及び平準化、公共施設の効率的な活用と適正な維持更新の実現を図れるよう、公共施設マネジメントを推進してまいりました。一方で、持続できる市政運営や人口減少社会の到来等を踏まえれば、公共施設全てについて、いずれ迎える更新の際に必要となる財源を捻出することは、非常に困難であると言わざるを得ません。未来の東久留米市を見据える大切な時期に、公共施設の適正配置を検討することが必要であります。

令和4年度は、火災罹災者の緊急的対応の機能を有する消防団第五分団詰所を除く学校教育系施設以外の公共施設の大規模・中規模改修工事は一旦休止をし、未来志向による公共施設の適正配置の検討のあり方について、庁内での議論を開始してまいります。併せて、国から求められている公共施設等総合管理計画の見直しについては、国の指針に沿って令和4年度中に取り組んでまいります。施設整備プログラムは、未来志向による公共施設の適正配置の検討の方向性を見出すまでの間、5年ごとに予定していた次期10年間に向けた計画の見直しは行わず、現行の施設整備プログラムに令和4年度当初予算の結果等を反映させたローリングを行うことといたします。なお、安全面や緊急的対応の必要性等を勘案した結果、必要であると判断した改修工事は行ってまいります。

北部・北西部地域の公共施設機能のあり方検討につきましては、コロナ禍を受けた社会情勢等の変化にも注視していく必要があるとし、庁内検討を休止しておりましたが、公共施設の適正配置の検討状況を勘案した上で、私として今後の方向性を判断してまいります。

人にやさしいデジタル化の推進

次に、三つ目の策となる「人にやさしいデジタル化の推進」についてであります。

DXの推進にあたり、組織的な課題であった行財政改革部門と情報システム部門を統合し、戦略的な経営を図るためのDXを全庁横断的に推進する統括組織の創設について、就任早々、令和4年4月1日を目途として組織機構の見直しを行うよう、組織機構等検討委員会に指示し、先般、その検討結果の報告を受けました。これは、私の考えと一致しているものと理解するところであります。つきましては、その報告に基づく組織条例の一部を改正する条例と必要な経費を計上した補正予算の議案を本定例会にご提案いたしております。

今後は、本市の自治体DXを推進するにあたってのビジョンを示す東久留米市自治体DX推進方針を早々に取りまとめ、速やかな対応を図ってまいります。

自治体DXにつきましては、単なるデジタル化を目的としたシステムの導入、更新に留まらず、業務プロセスや組織のあり方の見直し、働き方改革の推進等、業務全般にわたり改革・改善を行う取り組みであります。本市では、不断の改革・改善を図るためのツールとして、行政評価制度を活用してまいりましたが、業務の改革・改善との目的に立ち返れば、自治体DXの推進と行政評価制度の有効活用とは軌を一にするものであると考えております。つきましては、自治体DXの推進に本格的に着手するにあたり、行政評価制度における改革・改善への取組みも自治体DXの推進の中で実現させていくことを前提として今後の行政評価制度のあり方を整理してまいります。

共に創るにぎわいあふれるまち

次に、四つ目の策となる「共に創るにぎわいあふれるまち」についてであります。

地域経済の活性化は、地域の賑わいや成長、発展に寄与するとともに、このまちの財政面における潤いをもたらします。まちの魅力の高まりは、担税世代の転入や市外からの来訪者を増やし、その結果、税収の確保等が図られ、更なるまちの魅力と価値を高められる、こうした好循環を創出することが大切であります。にぎわいあふれるまちへのアプローチとして、このまちの強みや特色を生かした取組みを更に進めてまいります。

「道の駅」が有する「たまり」空間機能、地域の情報発信機能、地域連携機能の3つの機能を併せ持ち、加えて地場産農産物をはじめとする特産品の販売や、この地で古くから親しまれている食文化を提供できるような場は、地域活性化の拠点として非常に魅力あるものと考えております。国や東京都の様々な財政支援とともに、本市のふるさと創生基金を活用した地域活性化の拠点づくりについて、多面的な視点から実現の可能性を探ってまいります。

また、都市農業の活性化や商工業振興、更には新たな起業等の支援に努めるとともに、このまちの魅力を高められるような情報を発信してまいります。

安心して快適にすごせるまち

次に、五つ目の策となる「安心して快適にすごせるまち」についてであります。

地域防災力を高める取組みは、安全で安心して暮らせるまちの基盤となるものであります。東日本大震災から10年目の節目を経過しましたが、私たちはその時の教訓や課題を生かし、多摩直下地震などの大規模な震災に備えて必要な対策を講じなければなりません。各地で激甚化している風水害対策の重要性も高まっており、また、火山災害として富士山噴火による降灰も想定した上での対策も考えておかなければなりません。東久留米市地域防災計画につきましては、ここで改訂いたしましたが、災害への対策は事態を想定した上で、その実効性を高めていく必要性があります。

消防団や自主防災組織への支援、女性の視点を生かした避難所運営体制の充実、避難行動要支援者の支援体制づくりに取り組んでまいります。また、豪雨時の冠水対策や災害対策本部を設置する本庁舎での非常用電源確保等、様々な防災・減災の対策に努め、災害に強い、安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。

このまちの魅力を更に高められるよう、都市の空間的な側面からの土地利用・都市施設などの整備方針等に沿って都市基盤整備に取り組むべきと考えております。都市計画税という貴重な財源を効果的かつ効率的に活用しながら更なるまちづくりを進めるため、関係部署からなる庁内組織等において、今後の都市計画事業の検討を進めてまいります。

東久留米駅西口昇降施設につきましては、特定行政庁との協議を以て、当該施設の昇降施設部分と富士見テラス部の施設の現行法適合に向けた取組みを一体的に進めるため、昇降施設総体の大規模改造工事に係る実施設計を行っているところでありますが、こうした過程の中で、施設の安全性の確保・利便性の向上に向けた方策を検討してまいります。

先般、本市と所轄警察署である田無警察署との合同による「特殊詐欺撲滅」の宣言をいたしました。引き続き、所轄警察署や防犯協会等との連携を図り、広報活動等を通じた啓発活動を推進してまいります。

ここで東久留米市交通安全計画(令和3年度~7年度)を改訂いたしました。道路交通環境の整備や道路交通秩序の維持をはじめとする様々な取組みにより、交通事故のない安全で快適に生活できる社会の実現に向け、所轄警察署や東久留米市交通安全協会等の関係機関と連携して取組みを進めてまいります。また、所沢街道の歩道整備事業を東京都と東久留米市が相互に連携、協力して着実に前に進めてまいります。

私が市議会議員の時に、市内公園全ての状況を自ら見て回りました。各々の公園が担う役割を整理し、子どもたちや地域の方々に親しんでいただけるような空間となるよう、市内関係機関との協議等も含め、公園環境の充実に努めます。仲間とともに近くの公園でボール遊びに熱中する、こうした私の少年時代の体験を今の子どもたちにも味わってもらいたい。そのためにボール遊びができる公園を一つでも増やしたい。子どもたちの長年の夢を私は実現いたします。

いきいきと健康に暮らせるまち

次に、六つ目の策となる「いきいきと健康に暮らせるまち」についてであります。

人生100年時代といわれる今後の社会を見据えた上で、生涯現役で活躍いただき、いつまでもお元気でいただけるように健康づくりに向けた取組みを推進するとともに、社会福祉の充実に努めてまいります。

医療・介護・福祉の更なる連携強化を図り、必要な方に必要となるサービスを提供できる相談体制の充実に努め、市民の皆様が安心して日々の生活を営めるようなまちづくりを進めてまいります。また、地域医療や高齢者の自主活動等のまちの強みを活かしつつ、これまで取り組んできた高齢者福祉施策や介護保険事業等を進める中で、本市らしい地域包括ケアシステムの姿をめざしてまいります。

大切な方を亡くされた際の悲しみや精神的負担は計り知れないものがあります。こうしたお気持ちを汲み、死亡や相続に関する手続きをなるべく簡素化するとともに、ワンストップで申請手続きが行えるよう、お悔やみ窓口の創設をデジタル化によって検討してまいります。

障害がある方々が自立した生活を営み、安心して地域で暮らせる環境づくりが必要であると考えており、就労支援の充実と市内雇用の開拓に取り組むとともに、身近な地域での活動へ積極的に参加できるよう支援に努めてまいります。

子どもが豊かに成長できるまち

次に、七つ目の策となる「子どもが豊かに成長できるまち」についてであります。

核家族化の進行や地域のつながりの希薄化、またこの度の新型コロナウイルス感染症の影響もあり、妊産婦や母親の孤立感、負担感が高まっている中、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援は大切であります。引き続き、子育て世代包括支援センターの仕組みを通じて支援体制の充実に努めてまいります。

生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育・保育の重要性やその負担軽減を図る少子化対策の観点などから、幼児教育・保育等無償化の取組みがスタートしており、保育園・幼稚園に安心して通える支援体制に努めてまいります。

教育委員会と連携して進める取組みとして、義務教育の教育課程で定められている水泳指導については、学校ごとに夏季期間を利用して所属する教員が行ってまいりましたが、民間のスイミングスクールでは、1年を通じて泳力のレベルに応じたきめ細やかな水泳指導が行われております。他団体で既に取り組まれている専門インストラクターによるプール指導について、民間事業者とも調整しながら本市への導入の可能性を探ってまいります。

また、学校には、様々な悩みや心配を抱えている子どもたちがいます。日頃より関わり合い等を持ちながら、全ての子どもたちの健やかな発達を支援し、子どもたち自身が主体的に人生の針路を見出せるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教育センターの相談員等の体制の充実に努めてまいります。

次に、Society5.0時代に生きる子どもたちにとって、1人1台のタブレット端末は、鉛筆やノートと並ぶ令和時代における学校の「スタンダード」となりました。ICT教育の推進は、学校現場における重要な取組みの一つとして位置付けられており、この度の新型コロナウイルス感染症による社会変化等を受け、更にその勢いは加速度を増しました。今後は、タブレット端末を活用した効果的な取組みを実践するとともに、家庭学習へのタブレット端末の活用も図ってまいります。

また、平成17年度より長年の懸案課題であった中学校給食を実施しており、当時、私も議論に深く携わってきました。中学校給食については、現行の弁当併用スクールランチ方式を基本としつつ、温かい給食を提供できるよう、民間事業者と連携しながら取り組んでまいります。

自然と共生する環境にやさしいまち

最後に、八つ目の策となる「自然と共生する環境にやさしいまち」についてであります。

東久留米市の豊かな自然環境は未来に継承していかなければなりません。水があるから緑が育ち、緑地があるから水が湧く、そして水と緑がある所には生き物が集い、新しい命が芽生える。こうした好循環を後世に継いでまいりたいと考えております。

また、地球温暖化への対策は、地域課題としても検討が必要となっております。気候変動による自然災害が頻発する中で、減災レジリエンスへの対策が求められ、温室効果ガスの排出抑制に向けては、戦略的なエネルギー利用への検討も必要になっております。

国では、「エネルギー基本計画」、「地球温暖化対策計画」及びパリ協定に基づく成長戦略等の閣議決定を受けて、新たな削減目標を示し、再生可能エネルギーの主力電源化、脱炭素化に向けた施策強化などが進められております。東京都でも、「ゼロエミッション東京戦略」の達成に向けて区市町村とも連携して、推進、強化していくことを掲げております。

今後は、地球温暖化の抑制につながり脱炭素社会の実現に貢献できる実践的な省エネルギー・再生可能エネルギーの推進、エネルギー戦略の取組みのほか、防災・減災の視点などからも地域課題の解決に向け、分野横断的に対策を検討していく必要があります。国や東京都の動向等を注視し、庁内で検討し対応を図ってまいります。


次に、直面する市政運営の取組みや方向性などについて、第一歩となる令和4年度を中心に申し述べさせていただきます。

4.国、東京都の動き

(1)国の動き

はじめに、国の動きについて申し述べます。

政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2021(令和3年6月18日閣議決定)」において、感染症の克服と経済の好循環を目指し、「グリーン社会の実現」「デジタル化の加速」、「活力ある地方創り」、「少子化対策」の4つの成長戦略と、経済・財政一体改革からなる方針を示し、民需主導の自律的な成長軌道の実現を目指していくとしております。

また、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(令和3年11月19日閣議決定)」では、新型コロナウイルス感染症対応に万全を期すとともに、「新しい資本主義」を起動させ、「成長と分配の好循環」を実現させるため、第1に、新型コロナウイルス感染症対策、第2に、ウィズコロナ下での社会経済活動の再開と危機管理の徹底、第3に、「成長と分配の好循環」の実現、第4に、激甚化・頻発化する自然災害への対応、これらの4つの柱に基づき取組みを推進していくものとしております。

このような方針の下、政府は令和3年12月24日の閣議で、一般会計の総額107兆5,964億円となる予算案を決定しました。過去最大となった予算案では、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算とし、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策とともに、「科学技術立国」、「デジタル田園都市国家構想」、「経済安全保障」を成長戦略の柱とし、あわせて、「人」への投資の強化を図り、2050年カーボンニュートラル目標等の達成や防災・減災、国土強靭化への重点化を推進するなど、重要な政策課題への予算措置を講じるとともに、財政健全化への着実な取組みを進めつつ、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、令和4年度当初予算は、いわゆる「16か月予算」の考え方により、令和3年度第1次補正予算と一体的に編成した予算であるとしております。

(2)東京都の動き

続いて、東京都の動きについて申し述べます。

東京都では、昨年末に明るい未来の東京を切り拓くための都政の新たな羅針盤となる「『未来の東京』戦略」を策定し、目指すべき2040年代の20の「ビジョン」と、2030年に向けて新型コロナウイルス感染症に打ち克つ戦略を加えた20+1の「戦略」が示されました。「多摩・島しょ振興戦略」では、「それぞれの地域の特色を活かし、賑わいと活力に満ち溢れた地域社会を、都と市町村でつくりあげる」としながら、都と市町村が緊密に連携・協力して課題を解決し、にぎわいと活力に満ちあふれる地域社会を、共につくり上げていくとのことであります。

令和4年度の一般会計予算規模は7兆8,010億円、対前年度比3,760億円、5.1%の増となり、過去最大の規模となっております。また、市町村に対する総合的な財政支援を行い、市町村の行財政基盤の安定・強化及び多摩島しょ地域の一層の振興を図ることを目的とした市町村総合交付金は、政策連携枠に新たに働き方改革による地域振興の項目が追加され、令和4年度においては、前年度より3億円増額された588億円の予算規模となっております。

今後も国や東京都の動向を注視しながら、適切な予算対応を図ることはもとより、必要な財政支援を求めながら施策を推進してまいります。

5.本市における行政課題への取組み

次に、「第5次長期総合計画」に掲げられた基本目標に沿って、本市の現状と新たなスタートとなります令和4年度の市政運営の取組みに関しまして申し述べます。

共に創るにぎわいあふれるまち

はじめに「共に創るにぎわいあふれるまち」についてであります。

地域経済の活性化・地域産業推進協議会について

地域産業推進協議会では、関係機関や諸団体等と連携を図りながら、市内産業の活性化に加え、新たに創業を志す方の支援や企業誘導に対する取組みのほか、観光振興の視点からの情報発信にも積極的に取り組んでいただくなど、大変重要な役割を担っていただいております。令和4年度は、駅前マルシェの開催やマンホールカードを活用した事業などを企画していただくなど、こうした取組みは更なるまちの魅力と価値を高め、好循環の創出に繋がるものであります。今後も本協議会を中心に、地域経済の活性化に向けた取組みを進め、にぎわい、活気あるまちを目指してまいります。

都市農業政策の充実について

都市農業は、消費者の身近にあるという立地条件を生かし、新鮮で安全な農産物の供給や、教育、防災機能など、多面的な役割を果たしております。一方で、都市化の進行や相続の影響などによる農地の減少、農業者の高齢化や担い手の減少などの課題もあります。これまでも、「市民みんなで未来に繋げる都市農業」を将来像として各種施策を進めてきており、引き続き、都市農地貸借円滑化法による生産緑地の貸借促進や援農ボランティア養成事業など農業者支援に向けた取組みを進め、魅力ある農業経営の環境づくりに努めてまいります。

フィルムコミッションについて

下里小学校跡地につきましては、その利活用についての方向性が定まるまでの間、暫定的にロケ地として活用することで、収益の確保と地域の知名度の向上に繋がる取組みを進めてまいります。

上の原地区のまちづくりの推進

上の原地区につきましては、様々な商業施設や公園、運動グラウンドなどが整備され、今では市内外から多くの方々が訪れる、にぎわい、活気溢れるまちへと再生いたしました。一方で、旧国家公務員合同宿舎の建物が残る住宅地区Bにつきましては、現在、国において、既存施設の調査等を行っているとのことでありますが、引き続き、国との意見交換を継続する中で、土地利用構想整備計画に描いた土地利用の実現に向けて取り組んでまいります。

安心して快適にすごせるまち

次に、「安心して快適にすごせるまち」についてであります。

都市基盤の整備

都市計画道路の整備については、「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」における市施行の優先整備路線として位置付けられた東村山都市計画道路3・4・13号線及び3・4・21号線の幸町・小山・本町区間のうち、第1工区(幸町区間)及び第2工区(小山・本町区間)につきましては、既に東京都より事業認可を受け、着実に事業を進めてきております。引き続き、第3工区(小山区間)についても、令和6年度の事業認可取得に向け、取組みを進めてまいります。

自転車等駐車場整備事業

自転車等駐車場整備事業については、駅周辺の恒久的な自転車等駐車場の確保に向けて、トータルコストの縮減や利用者の利便性の向上が見込まれるPFI等手法を採用し整備事業を進めてきており、本年1月より、駅周辺の6施設において、指定管理者による管理運営を開始したところであります。令和4年度は、東久留米駅西口第1自転車駐車場の施設整備工事に着手し、令和5年6月からの運営開始に向け、施設整備を進めてまいります。また、当該施設整備期間中における自転車等駐車対策として東久留米駅西側において2カ所の臨時自転車駐車場の運営を開始します。引き続き、施設整備に向けた取組みを順次進めてまいります。

南沢通り(市道207号線)の拡幅整備

補助幹線道路として位置づけられている南沢通り(市道207号線)については、歩行者や自転車利用者の安全性を確保できるよう、拡幅整備に向けた用地取得の取組みを進めてきております。引き続き、事業の着実な推進に向け、様々な手法の検討を行い、前に進めてまいります。

いきいきと健康に暮らせるまち

次に、「いきいきと健康に暮らせるまち」についてであります。

健康寿命の延伸

健康寿命の延伸を実現するためには、市民一人ひとりに健康維持に向けた自覚を促すとともに、健康づくりを支援していくことが求められております。市民一人ひとりが自ら取り組める健康づくり活動への支援や、特定健診及び特定保健指導を通じた生活習慣病予防など、引き続き、健康を保持増進するための取組みを進めてまいります。

国民健康保険の健全運営

国民健康保険制度については、これまで「国保財政健全化計画」に沿って、中・長期的な視点に立ち、計画的かつ効率的に健全化に向けた事業費の抑制などの取組みを進めてきております。国民健康保険税条例の一部改正等につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もある中で、国民健康保険運営協議会からの答申を尊重し、本定例会にて提案しております。今後も東京都と一体となり安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保に努めてまいります。

子どもが豊かに成長できるまち

次に、「子どもが豊かに成長できるまち」についてであります。

妊娠期から切れ目のない子育て支援、相談体制の充実

妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援につきましては、子育て世代包括支援センターの仕組みを通じて、妊婦の全数面接をはじめとして、出産・産後、そして就学前までの子育て期における支援・事業を実施してきております。また、国や東京都の補助金も活用し、多胎児家庭の交流会事業(多胎ピアサポート)や多胎児家庭移動経費補助事業を実施し、多胎児家庭への支援の充実を図ってまいります。

保育園の施設整備・運営及び提供体制

保育園の待機児童対策といたしましては、第2期となる「東久留米市子ども・子育て支援事業計画」及び「保育サービスの施設整備・運営及び提供体制に関する実施計画」に沿って取組みを進めてきております。これまで定員の拡大を図ってきたことで、「子ども・子育て支援事業計画」に定めた量の見込みを上回る提供体制が確保できる見込みとなっております。また、公設公営保育園については、あらためて、民間活力の導入の考え方などを整理し、令和4年度中に「保育サービスの施設整備・運営及び提供体制に関する実施計画」において、お示ししてまいります。

民間活力を活用した学童保育所の運営体制

学童保育所の運営にあたっては、令和4年4月より新たに3校区5学童保育所で民間活力を導入し、延長育成も含めた運営を開始いたします。また、令和2年度に民間活力を導入して運営しております2校区3学童保育所については、令和4年度を以て委託契約期間が満了となることから、令和5年度からの再委託に向けて公募等の手続きを進めていくとともに、これまでの民間活力導入にかかる取組みなどを踏まえ、令和4年度中に東久留米市立学童保育所の運営方針を改訂してまいります。なお、直営の7校区11学童保育所においても令和4年4月より延長育成を開始して、育成支援の充実を図ってまいります。

教育大綱の改定

教育大綱につきましては、平成27年度に、教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱として策定いたしましたが、制定から7年弱が経過する中、当時とは教育を取り巻く状況も大きく変わってきていることから、総合教育会議において教育委員会と協議した上で、教育大綱の改定を行ってまいります。

自然と共生する環境にやさしいまち

次に、「自然と共生する環境にやさしいまち」についてであります。

緑地の保全・都立六仙公園

向山緑地公園を含む南沢地域は、落合川や南沢湧水群など水と緑が多く、近くには都立六仙公園もあります。これらの貴重な環境資源を有機的に繋げるため、令和3年度中に向山緑地公園の拡幅に向けた都市計画緑地事業の認可を取得したことから、令和4年度に、都市計画税充当事業として用地取得を行ってまいります。都立六仙公園につきましては、東京都において計画的、段階的に整備が進められている中、地元自治体としての意向を伝えつつ、取組みが推進されるよう、東京都との調整を図ってまいります。また、「第三次緑の基本計画」については、環境審議会において緑地の保全や緑化の推進、生きものの保全に向けた取組みなどのご議論をいただいており、生物多様性戦略を包含して令和4年度中の策定に向けた作業を進めてまいります。

地球温暖化対策実行計画の策定

省エネルギー化に向けた対応については、本庁舎、中央図書館及びわくわく健康プラザ体育館の照明LED化や、設備機器の更新に合わせ、従来よりも高効率な設備機器を導入するなど、「第三次地球温暖化対策実行計画」に基づく取組みを推進し温室効果ガスの排出量削減に取り組んできております。本計画は、令和4年度を以て計画期間が満了することから、2050年カーボンニュートラルに向けた国や東京都の動向を踏まえ、引き続き、市自らの事務事業により発生する温室効果ガスの削減を図り、全庁一丸となって地球温暖化対策に向けた取組みを進めるため、「第四次地球温暖化対策実行計画」を策定してまいります。

基本構想実現のために

最後に、「基本構想実現のために」についてであります。

財政健全経営計画

「財政健全経営計画」は、限られた資源を効果的・効率的に活用し、市財政の身の丈に合った持続可能な行政運営を図っていくための方針と行動計画とし、昨年8月に改定いたしました。ポストコロナを見据え、DXの推進をはじめとした業務の見直しや民間活力の活用も見据えた公共施設マネジメントの取組みの方向性などを示しており、こうした方針のもと、実行プランに沿った改革・改善に取り組み、将来に渡り持続可能な市政運営を進めてまいります。

組織機構等の見直し

社会情勢に応じた行政ニーズに的確に対応していくためには、効率的で機動的な組織機構が必要であると考えております。自治体DXの推進につきましては、本年4月よりDXの推進に向けた組織体制を整備し「人にやさしいデジタル化」の実現を目指してまいります。また、公共施設マネジメントの推進に向けては、体制を整備し、未来志向による公共施設の適正配置に向けた検討のあり方について庁内調整を進めてまいります。なお、全庁的な組織機構等の見直しについては、国において「子ども家庭庁」の設置に向けた動きや孤独・孤立対策担当室が設置されたこともあり、こうした動向も注視しながら、引き続き、担当において調査・検討を進めてまいります。

個人情報保護条例の改正

令和3年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」により、自治体ごとに制定、運用してきた「個人情報保護条例」が、全国的な共通ルールとなる「個人情報の保護に関する法律」の運用に移行されることとなりました。DXの推進に関係し、その基盤となる個人情報保護制度の確実な運用は重要性を増していることから、令和5年度からの新たな制度運用に向け、東久留米市個人情報保護条例をはじめとする関係条例、規則等の整備等に取り組んでまいります。

人材育成・働き方改革

市民サービスの向上に向けて基幹となるのは職員であります。職員の働き方改革の推進として、テレワークの実施に向けた検討を進めていくほか、民間のノウハウも活用した職員研修の充実についても検討を開始して、速やかに方向性を示し、職員がやりがいを持って業務に取り組める働きやすい職場づくりを推進してまいります。また、地方公務員法等改正法により、令和5年度より地方公務員の定年が段階的に65歳に引き上げられることに伴い、条例改正等、必要な措置を講じてまいります。

市史編さん

市史編さんにつきましては、その取組みの必要性は認識しておりますが、喫緊の新型コロナウイルス感染症対策や国をあげてのデジタル社会への転換などへの対応が求められる中で、市としては、これらの対応に優先的かつ精力的に取り組むこととし、令和4年度からの事業実施を見送ることといたしました。なお、歴史的公文書につきましては、引き続き、整理してまいります。

6.令和4年度当初予算

(1)予算編成と概要

次に、令和4年度当初予算編成の概要等について申し述べます。

予算編成にあたりましては、新型コロナウイルス感染症の長期化が懸念され、未だ予断を許さぬ状況の中にあって、第5次長期総合計画に掲げるまちの将来像「みんないきいき 活力あふれる 湧水のまち 東久留米」を目指した施策の推進とともに、長期総合計画を財政面から下支えする財政健全経営計画(改定版)の取組みを着実に進めるため、ポストコロナ時代の新たな社会生活を展望した市政運営へと戦略的に舵を切るために、令和4年度予算は、敢えて重点施策は設けず、「当市としてのポストコロナを見据えた上でも持続できる、更に発展できる市政運営へと転換するための予算」と位置づけ、これを予算編成の方針として編成作業を進めてまいりました。12月28日の市長就任以降、編成作業において厳しい判断も行いながら、事業効果を勘案する中で、必要であると思われる事業に対して財源を配分し、調製した予算案であります。

令和4年度一般会計予算は、450億3,600万円で、前年度比2億1,600万円、0.5%の増となりました。一般会計と国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の3特別会計を合わせた総額は、710億5,640万円で、前年度比10億109万8千円、1.4%の増となっております。なお、地方公営企業法を適用している下水道事業会計については、収益的収支のうち、収入が23億7,576万8千円、支出が22億9,370万9千円、資本的収支のうち、収入が11億141万8千円、支出が18億9,196万円5千円となっております。

歳入におきましては、市税において、個人市民税、法人市民税、固定資産税、軽自動車税、市たばこ税、都市計画税の全てが増加を見込んでおり、市税全体として、令和3年度当初予算額との比較では5億9,218万6千円、3.6%の増となっております。また、主な一般財源における税連動交付金のうちの多くを占める地方消費税交付金が前年度比7千万円、3.1%の増となるほか、普通交付税も3億9,200万円の増加を見込んでおります。

歳出におきましては、大きく額が増えました土木費で、自転車等駐車場整備工事の推進や公園整備事業にかかる土地購入などにより、対前年度比10億7,215万2千円、30.6%の増となっております。

予算の執行にあたっては、特定財源の確保及び実施体制と実施手法のさらなる精査を行うとともに、引き続き、不断の行財政改革に取り組んでまいります。

(2)主な事業等

続いて、当初予算に計上した主な事業につきまして、第5次長期総合計画に掲げられた基本目標に沿って申し述べます。

共に創るにぎわいあふれるまち

はじめに、「共に創るにぎわいあふれるまち」についてであります。

閉園いたしました柳窪農園に代わる農園の開設につきましては、滝山五丁目内にある農地をお借りできる見通しとなり市民農園の開設に向けて準備を進めてまいります。

中核的・中心的農業者支援事業につきましては、農業経営改善計画認定農業者や一定の農業所得を見込める中核的・中心的農業者に対し、スマート農業等、農業の効率化に寄与するための農機具・機械購入費用の一部を補助してまいります。

安心して快適にすごせるまち

次に、「安心して快適にすごせるまち」についてであります。

特殊詐欺への対策につきましては、所轄警察署や防犯協会などと連携を図り、広報活動などを通じて市民の皆さまに対する啓発活動を推進していくとともに、被害を防ぐ効果が高いと言われております自動通話録音機の貸出台数を増やし、特殊詐欺対策の強化を図ってまいります。

消防団第五分団詰所につきましては、既に建設から30年以上が経過しており、施設整備プログラムに基づき大規模改造工事を実施してまいります。また、消防団第六分団で使用している消防ポンプ車につきましては、経年劣化や金属部品の摩耗が激しいことから更新いたします。

避難所における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、感染拡大防止を図るための災害対策用備蓄品等を購入してまいります。

いきいきと健康に暮らせるまち

次に、「いきいきと健康に暮らせるまち」についてであります。

第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画に基づき、令和5年度末までに認知症高齢者グループホームと併設の看護小規模多機能型居宅介護の開設を予定している地域密着型サービス事業者に対して、施設整備に係る経費の一部を補助してまいります。子宮頸がんワクチンにつきましては、対象者又はその保護者に対して、ワクチン接種の勧奨を開始し、引き続き、医療機関と連携して実施してまいります。

子どもが豊かに成長できるまち

次に、「子どもが豊かに成長できるまち」についてであります。

東京都出産応援事業につきましては、対象となる方にギフトカードを早く届け、子育てのためにお使いいただけるよう、出生後、1~2か月の間に郵送にて配布することといたしました。

就学前の子どもを対象とした幼児教育施設を利用する保護者への支援につきましては、地域や保護者のニーズに応え、新たに多様な集団活動を利用する保護者も対象に加え、国や東京都の補助金も活用して利用料の一部を補助してまいります。

学校施設の環境整備につきましては、本定例会において令和3年度補正予算として提案しております、第二小学校西校舎棟他中規模改造他工事、第三小学校西校舎棟他大規模改造工事、第三小学校体育館中規模改造他工事、第五小学校普通教室整備工事、南中学校校舎棟トイレ改修工事を令和4年度への繰越事業として実施するほか、令和4年度予算において東中学校西校舎棟屋上防水工事を実施してまいります。今後の改修に向けた準備では、第五小学校普通教室整備工事、第九小学校東校舎棟中規模改造工事に係る実施設計を行ってまいります。

学習用コンピュータを家庭に持ち帰って活用する際のフィルタリングソフトの導入や、要保護・準要保護世帯のうちインターネット環境のない家庭に対してモバイルルーターを貸与するなど、家庭におけるタブレット学習環境を整えてまいります。

自然と共生する環境にやさしいまち

次に、「自然と共生する環境にやさしいまち」についてであります。

民有地をお借りして森の広場として開放しております「柳窪けやき森の広場」につきましては、東久留米市緑地保全計画における保全対象地であることから、公有地化を図ってまいります。なお、購入にあたっては、みどりの基金を活用してまいります。

基本構想実現のために

最後に、「基本構想実現のために」についてであります。

自治体DXの推進につきましては、国より「自治体の情報システムの標準化・共通化」が求められていることから、標準化対象業務の分析と対応方針の取りまとめを行ってまいります。あわせて、「自治体の行政手続のオンライン化」に向けて、マイナンバーカードによる申請が受けられる環境の構築のほか、クラウドサービスを導入して行政手続きのオンライン化の促進を図ってまいります。また、市民課の窓口に来られた方の待ち時間の短縮に向けて、申請書等の記入をせずに手続きが行えるシステムを導入し、窓口サービスの向上を図ってまいります。

庁内事務のデジタル化については、財務会計システムに電子決裁を導入してまいります。

次に本庁舎への非常用電源等の整備につきましては、72時間の電力確保と省エネルギー化を図るため、太陽光発電に加え、蓄電池、電気自動車を二次電源として活用したVPP(バーチャル・パワー・プラント)機能の導入を進めており、令和4年度より工事に着手してまいります。本機能は、防災機能の向上に加え、エネルギーマネジメントを行うことで温室効果ガスの排出抑制を図り、防災及び環境分野における課題を同時解決し、SDGsに資するものであります。令和5年1月の稼働を予定しておりますが、こうしたエネルギーマネジメントの視点をもって、まずは、一定の公共施設において環境配慮方針に基づいた電力調達の一元化を図ってまいります。

7.終わりに

以上、私の所信を述べて参りましたが、東久留米市は、これまでも多くの課題を抱える中で、その解決に向けた改革に取り組んでまいりました。それは決して平坦な道のりではなく、乗り越えていかなければならない苦難も少なくなかったと思います。

現在の市政を取り巻く環境も、少子高齢化、人口減少社会の進行に加え、新型コロナウイルス感染症対策や公共施設の老朽化対策など多くの課題が山積しております。そのような中にあっても、私が市政運営にあたり、常に心がけたいのは、「至誠通天」の精神です。 一つ一つの課題に誠実に取り組み努力をすれば、必ず願いは叶う、という意味です。

東久留米市政の現状はまだまだ課題山積かもしれません。しかし、理想は高く持ち続けなくてはいけません。市民・議会・行政が力を合わせて、新しい時代への扉を開くことができれば、必ずや夜明けはやってきます。

東久留米市のこれから始まる未来に向けて、私は市長としてその先頭に立ち、一つ一つの課題に誠実に取り組み、道を切り拓いて進んでいく決意です。

ぜひとも市民の皆様、議員の皆様にも、東久留米市の光り輝く未来に向かって、一緒に進んで頂きたい、そのことを切にお願いいたしまして、私の所信の一端の表明とさせて頂きます。


令和4年3月1日


東久留米市長
富田 竜馬

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